なが茶話

ときどき書きます。

伊達巻き

三日坊主ということばがある。ツーブロックなどの洒落た髪型に変えたところで、すぐ似合わないと悟って結局三日目には坊主に剃ってしまうということから、柄でもないことはするなと戒めたことわざだ。この日記も三日坊主にならないよう心がけたい。


伊達巻きを作った。正月だからである。クリスマスや勤労感謝の日文化財防火デーなどに作ってもよいが、正月に摂食するのが習わしになっている。メニューを考えるコストを省くことができるため、こういう無害な習わしはありがたい。


伊達巻きを作るには、白身魚をすり身にし、卵と調味料を混ぜ合わせる必要がある。菜箸でちょいちょいというわけにはいかない。証拠隠滅くらいの気持ちで徹底的に混ぜる。伝統的にはすり鉢を使うが、すると何十分もかかることになる。すり鉢で伊達巻きを作った人たちからとったアンケート(有効回答数1)によると、すり鉢を用いるのは「だるい」という感想が100%だ。


ここでフードプロセッサーが活躍する。以前証拠隠滅用に購入したものだが、伊達巻きにも使える。参照したレシピには「ダマになるのでフードプロセッサーは使わないほうがよい」と書いてあったが、だるくなるのですり鉢は使わないほうがよいとも言える。あと手首も痛い。レシピは捨てた。


材料を混ぜさえすればあとは焼いて丸めて冷ますだけなので簡単だ。簀巻きにしてさあ固定しようと思ったら輪ゴムがない。うっかりアツアツの伊達巻きをくるんだ巻き簀を持ったまま輪ゴムを探索しに部屋をうろついてしまった。


伊達巻きにはものすごい量の砂糖が入っている。伊達巻きから魚とみりんと酒と醤油を除いて牛乳を足したらプリンだ。左手の伊達巻きからは液化した砂糖がポタポタと床に垂れていた。ヘンゼルとグレーテルだったらこの跡をたどってお家に帰るところである。さっさと伊達巻きを冷蔵庫にぶち込み、床の砂糖汁を拭いた。腰が痛い。


伊達巻きはじゅうぶん美味しくできた。すり鉢を使うとさらに美味しくなるものだろうか。